「わたしはロランス」を観てきました。ある意味きついけど、いい映画でした。
どんなに好きでも一緒にいると苦しくなる関係があることを思い出させてくれ
る映画。ほんとに切なくて三度くらいぐわっと泣けてきて、一番端っこの席で
よかったと思いました。どのくらい経験が入っているのか?入っていないのか、
知らないけもれども、主役の二人の演技も素晴らしかったし、リアルにその場面
の感情を味わっているような感じがありました。ロランスのお母さんもすごく
よかった。女優さんの演技も、お母さんとしての在り方も。
セクシュアリティジェンダーの問題は簡単ではなくて、いろいろな在り方が
あると思うし、私はそれでいいというか、そう在る(しかない)ならそれで
いいじゃない、と思う。ただただ「わたしはロランス」でいい。こういう二人の
関係性やなりゆきは、セクシュアリティの問題がなくてもあることだと思う。
けれど、現実に付き合っている男性にロランスのような告白をされたら(「今ま
で自分を否定してきた」と言われたら)、自分も否定されたような気持ちになる
と思うし、実際に現実に付き合う上ではすごくいろいろなことが起こるだろうと
思うので、自分が想像できないところもある。終わり方(映画のではなくて二人
の)が、あれでよかった。どちらか一方が…ああでなかったら、きっと引きずっ
てしまう。二人は賢い、と。映画の終わり方としては、主役の女優さんのよさが
改めてわかる画面だったし、男優さんも相手にとってすごく魅力的な出会いで
あったことがよく伝わる表情をしていました。
こういう関係性を描く映画はなくはないけれど、この映画が魅力的なのは、映
像の素敵さがやっぱり大きいのだと思います。色も綺麗だし、印象的なシーン
がいくつかあるのですが、そういうのがセンスのよさとかを狙って取って付けた
ような感じがしなく、どう思い着くのかはわかれない新鮮さがあるけれど、すご
く“わかる”感じ、その時の感情を表せている感じがする。画面のセンスと人間
関係をしっかりリアルに描くことが両立していてよいです。あと、音楽もとても
よかったです。
観終わって、これ一本作ったことでそれでいいんじゃないかという監督さんが
いると思いますが、この作品もそういうものに入る気がしました。でも、この監
督さんは前に作ったお母さんについての自伝的な1本めの作品ががまた公開さ
れるようなので、それも興味深いです。