桐野夏生「OUT」。
映画化されていたものの情報から、かえって読む気になれなくて、
文庫化されたものの中では一番後回しにしていて、読むものがなくなったのでようやく読んだ。
主人公が、主婦と言えど、ほぼ、ミロですね(「ダーク」他の)。
桐野さんは、どうして主婦のああいう閉塞感みたいなものまでわかるのでしょう。
以前は尊重し合っていたはずの会話のなくなった夫婦、買い物依存に陥る感じ、介護している人の日常の鬱屈とか。
そして、胆の据わった人同士の、業とか魂とかからぎっちりと結び合ってしまうような出会い、関わり合い。
不幸でも血の出るような(実際出る)苦しみがあっても、求めないではいられないなんて、
本の中のこととは言え、明らかに病んでるタイプの人間たちだと思うが、
何があっても決してうろたえない、冷徹な目をもち続けられる人間が、
そういうふうに生きる方を幸せ?充足している?、と自身で納得しているのなら、
その方がいい、と認めたくなる。


で、そんなものを読んだ後に、読みたい文庫があまりなく(通勤には文庫派なので文庫を買う)、
「そして殺人者は野に放たれる」を買ってしまって読んでいる。
フィクションなんだか現実なんだかよくわからなくなってしまいそうで(しっかり現実を読みとるべき。)、まだうまく感想がもてない。
日垣隆さんは信頼できるタイプの好きな雰囲気の人だと思っていましたが(ちょっと硬そうだけど)、
あまりよく知ってはいない。こんなふうに半端に読まれては不本意だろう、と思う。