・「スウィーニー・トッド フリーク街の悪魔の理髪師」(これも思い切りネタバレ)
 公開直後のものを観に行く、っていうのも久しぶり。半額券もあったし、これにした。
 ジョニー・Dが歌う、監督ティム・バートン、芝居ものの映画化、ちょっとグロい...、
 くらいの知識しかもたずに行ったら、かなーり血が出ていた。
 
 映像は、とても好みだった。
 スウィーニーの目を通した情景であるような、
 暗く重苦しい陰鬱な雰囲気のロンドンの街の景色、色合いもよかったし、
 ノワールな感じじゃなく、おどろおどろしいけれども、おとぎ話な感じの風景とか、
 建物、衣装なども、とても素敵でした。
 スウィーニーが妻と子どもと幸せだった頃の映像はほんとに淡くてやさしく、
 パイ屋の女未亡人のヘレナ・ボナム・カーターが夢見る、
 スウィーニーとの幸福な未来の情景とかは、笑いどころもあるし。
 ミュージカル風なところも、出演者みな歌がうまくて、
 曲もとても王道な感じできれいで、かけ合いで歌うところがすごくよくできていると思ったし、
 いきなり人が不自然に踊り出すような感じではなく、後で思うと、
 ジョニー・Dが踊っているようなところは、
 スウィーニーの心の叫びみたいなものを身体で表現している、という感じだった。 

 ジョニー・Dは、一場面一場面すごく気持ちを入れている演技、表情だと思えたし、
 なんかもう、いかにもハマリ役、という感じだった。
 ヘレナ〜も、役の雰囲気にとても合っていたと思う。
 若い船乗りの青年、判事、役人、ライバル?理髪師、みなよかったと思うが
 (妻と子役の女優さんは、あまり印象的ではなかった)、
 中でも、ライバル理髪師の弟子(後にパイ屋の手伝い)の男の子が、ものスゴク可愛かった。
 大人になるとこういう可愛い少年は、どうなるんだろう?このままいってほしい。 
  
 私は、ティム・バートン作品を全部観ているわけではないし、
 オタクっぽい映像の細かい遊び、おとぎ話風な雰囲気、子ども心をくすぐるようなところが
 好きなだけなので、これがどういう位置の作品なのかわからないけど...、
 ちょっと、全体的な感想は、複雑です。
 私は、普通なら、血の飛び散るような場面のある映画は見ない、というか、見ようとしない。
 単純に、苦手だから。まあ、今回は、ちょっ予想はしていたけれど、
 正直、ナイフが首を切り、血が飛び散る場面を、あれだけ何度も何度も続けて見せられると、
 (加えて、死体が、ドサっと、スウィーニーの理髪店の改造椅子から
 闇の調理場に落とされる。何体も何体も。)ちょっと絶句状態だった。

 でも、見ました。何か意味があるのだろうと。全体がホラーな雰囲気ではなかったし。
 でも、あまり、そのへんの意味はわからなかった。 
 ちょっとなら、想像するのでなく、実際に血が流れる画面を目で見ることとか、 
 シンプルな暗い画像の中での鮮血の赤い色が表す効果とか、
 というような意味が考えられるけど(たとえば、です)、
 何度も何度も見せるのは、また、それなりに意味があったのか...もしれない、と思う。
 単に、オタクなティム・バートンなりのセンス、面白がり方で、あまり意味はないのか?
 でも、ジョニー・Dが、そういうことで演技しているとは思えない気もするんだけど。

 全体の流れの中でも、人が復讐の行為そのものに溺れていってしまうこととか、
 結局、最後には...、な流れとかに、一般的な読み取りやすい教訓的なことも考えるけど、
 それだけにしては...?とも思う。
 私的には、正直、そのへんの意味がうまくつかめなかったので、
 単純に面白かったけれど、ちょっと微妙です。
 長い間、ブロードウェイで愛されている理由は何なんだろう?

 そういえば、今朝、幸四郎さんがTVに出ていて、言っていたが、
 90年代に、すでに日本でも、幸四郎さんが舞台で演っていたらしい。