・荻原 浩 「さよならバースディ」(やっぱり文庫で)
 たまには本のことでもー。何となく敬遠していたこの人のものを初めて読みました。
 ボノボに言葉を学ばせる研究者と、その恋人と、大学研究室周辺の人々の、ミステリーっぽい物語。
 検索したら、評判あまりよくないのですね。
 たしかに、主人公が、ボノボをかわいがっているようで結局大事にしてないかも....とか
 (そうした気持ちは理解できるにしても)、死んだ人の動機がちょっと薄いかもしれないなーとか、
 引っかかるところはあるのですが、私は、好きです。
 バースディ(ボノボ)の動作や人間とのやり取りする姿や言葉が、すごくいじらしく、
 (とくに事件で動揺する前の)主人公との日々の関わり合いの様子は、気持ちにくるものがある。
 それと、主人公の恋人への気持ちの描き方は、私的にはすごくわかりやすく、読んでいて、
 人恋しいような、人がいないことのさびしさみたいなものを自分でも感じ、切ない気持ちになった。
 

さよならバースディ (集英社文庫)

さよならバースディ (集英社文庫)