・「This Is It」(ちょっとネタバレてます)
 つい、Stro〜のアルバム名の方で言ってしまったりしますが、MJの映画です。 
 彼がすごく好きだったり思い入れがあったりしたわけではないけれども、
 少し前にBSで30周年記念ライブの映像を観て、やっぱりカッコいいかもと思ったし、
 今回なんとなく観た方がいいだろうという予感があり、連休前に観てきた。
 観てきて正解でした。また観たいと思ったし、またDVDで観るにしても、大きな画面で
 観たい、と思っています。 

 始まって10〜15分くらい、何故かはわからないけれども、ぼろぼろ泣けて仕方なかった。
 何故だろう?、考えられるのは、オーディションで受かった若いダンサーたちの  
 MJと一緒にステージに立てるという興奮やほんとうにうれしいという気持ちや期待
 みたいなものが彼らの身体の動きに表れていて、そこに感動したのか、または、
 MJはもちろん、彼とともに踊る若い彼らの動きの歯切れのよさとかが、音も含め
 単純にカッコよくて心震えたのか...。わかりません。
 そんなダンサーたちを含め、共演者やスタッフみなに、この人とやれる、と思わせられる
 そういう舞台作りをできること全体(それをああいう映像でも感じさせられること)が、
 MJの凄さだったのかもしれない。
 数曲はしっかりリハーサルの中でも楽しめて、そういう意味でも楽しかった。
 MJは、淡々と、偉そうでなく、舞台監督やスタッフに細かい指示を与えているけれども、
 そのスタッフたちは、たぶんほんとに頭のいい、MJの言うことをすぐ理解でき体現できる
 すごく優秀な人たちなんだろう、そういう人だから選ばれているのだろう、ということが
 見ていてよくわかる。照明でも舞台装置でも音響でも振り付けでも演奏家でもなんでも。
 ああほんとにMJを支えるというプロの仕事の集まりだったんだな、と思う。
 実際には行われなかったあのステージの様子が、映像に残されていて、
 観ることができて、ほんとうによかったと思う。でなければ、もったいな過ぎると思った。
 リハーサル映像だけでもすごくカッコよかったし、そして観るものにとってだけでなく、
 あの準備をしていたスタッフや共演者たちがしていたことが少しでも残されたということで。
 でも、あの緊張と喜びでいっぱいの中でMJと仕事をしていたスタッフや共演者の喪失感
 というか残された気持ちは、想像もできないけれど。
 現実的な部分でも、あの人々にとって、収入的にもこの映画が役にたってくれたらいいかも、
 とか思ってしまった。
 (そんな話を職場でしていたら、あれは公演自体がむずかしそうだから撮影していたのでは?
 ....というようなことを言っていた人がいた。悲しい想像だけれど、ひょっとしたら
 そういう部分もあったのかもしれない。)

 すごいファンでもない人がとってつけたようにMJを素晴らしいというのはなんだか...という
 気持ちはあるけれども、実際にリハーサルを撮ったものから作り上げた一つの作品として
 観て、何故かすごく感動的というか気持ちに入ってくるものだったと思う。
 このタイミングだから、あの公演のリハーサル映像だからよかったのか、それもわからないし、
 いなくなってしまったから...、という部分もあるのかもしれないけれど。
 彼には実際に行動に奇異な部分もあったかもしれないけれど、いろいろな情報ばかりが
 耳に目に入り、純粋に彼の歌や踊りやステージを観ようと思う機会を少なくしてしまったこと、
 そういう彼に対する見方が、すごく惜しいことだったのだろうと思う。