「凶悪」。ほんとに凶悪。ほぼ現実にあったことのようで(きちんと調べる気は
しない)、ピエールとリリーさんが出ていなければ観なかったけれど、二人が
不自然でなく役にハマっていてよい。そのせいか、同僚の山田くんファンは、
山田くんがいまいちだったと言っていたな。お金の絡む目的を遂げるため、達成
感のため?何でもできる、誰かの頼みにすべて忠実になってしまう、衝動性…、
自分の中に全くないとは言い切れないが、実際にしてしまう人がいることが怖い。
目的、やっていることは違っても、仕事に入り込み、親の介護をしてもらう妻に
まったく共感できない記者の状態もそれほど変わりはないかもしれない。すごく
重い映画だけれど、私的には、内容的にはもっと軽くても鑑賞後にもっと陰鬱で
じめっとした雰囲気に苦手感をもってしまうものがあって、これはそういう感じ
ではなかった。でも、地方の小都市のあの暗い感じの風景はちょっとわかるだけ
に重く感じる。
 「パンドラ」。YMが1998年に行なった一年間113本の「パンチドランカー」
ツアーのドキュメンタリー映像。好きじゃない人が観たら冷めて観てしまうのだ
ろうけれど、私はまさにこのツアーに何本も行っていたので、その前後の自分と
重ねてもいろいろ思うこともあるし、当時を振り返るスタッフの話(ツアー中に
あったと聞いていたことや全く知らなかった事実)とリアルな記録映像、現在
集まってメンバーがその頃を振り返って話す言葉で、ばらばらだったあのツアー
の自分の記憶やYMへの思いがまた何か違う形になった感じ(崩れていた断片が
巻き戻されていくように形になるイメージ)。今だからみんな観られる、話せる
ようになったのだろうと思う。あんな修行みたいなことは今のバンドはあまり
やらないんじゃないかと思う。その方が賢い。あのツアーが解散に結び付いたの
かもしれない。けれど、吉井さんやバンド全体にとって大きな目で見れば必要で
意味のあることだったんだろうと思う。…などなど言ってみるけど、観ていて
とにかくYMは今でもやっぱり大好きだし、なんだかありがたいなという気持ち
になりました。ファンだけの思い入れでしかないと思われても、どんなに頑張っ
ても音楽がいいとは限らないと言われてもよいのです。あのツアーは何かの意味
がある。DVD買ってしまうかもしれない。