新しい本がなかったので、少し前から、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド
 の文庫を読み返していた。
 今は、すごく好きと素直に言える村上さんではないんだけれど(でも、癖で新刊を買ってしまう)、
 これはやっぱり好きだなと思う。
 私が本を読む理由は、現実と別の世界へ行きたいからだと思うんだけど、村上さんの作品に惹かれたのは、
 たぶん、無駄と湿り気のない文章が自分的に心地よいので、不快にならず早くその世界へ入り込める、
 それから、ちょっとファンタジー好きな自分にフィットするところがある、からかなと思う。
 仕事の帰り、電車や喫茶店で座って、音楽を聴きながらこういう本を読んでいると、ほんとにしあわせだ。
 この頃の作品は、自分がよく理解できていないだけかもしれないけど、読み返すたびに、
 ああ、こういうことだったんだ、とわかるところがあったり、違う話のようにとれる部分がある。
 文庫の下巻は、とても静かでかなしくて、乖離しそうなくらい自分の世界に入れるところがある。
 でも、ほんとのほんとに内容は理解しきれていないのではないかと思う。
 また少し後で読み返してだんだんわかっていくのでよいと思う。 

 

Yours to Keep

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