スティル・ライフ」(池澤夏樹)。
何度も読み返しているもののひとつ。読んでいて静かで清浄な気分になれる気がする。
これを読んでいて私が心地いい理由の一つは、自然の描写をする文章がたくさん出てくるのだが、
それを読んでその風景を想像の中で見ているうちに、自分がその風景の中の一部分になり、
そのうち逆にそれを俯瞰して見ているような感触になれること、ではないかと思う。
冒頭に、「世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、
それぞれまっすぐに立っている」という文章があって、私はそれをほんとには理解しきれていなくて、
自分の感じる感覚と、そのへんをどう結んで考えていいのかよくわからないのだがー。
これも、何度も読むうちに、腑に落ちることがあるのではないかと思う。
もう一つは、登場人物二人の関係性が、自分にとって心地いいものだからじゃないかと思う。
差はあるけれども、二人ともおおげさでなく、口数多くなく、自分のことを知っていて、
自分なりの生活を大切にしていて、同じように他人の生活も尊重して静かに見ている。
(語り手の方が少し子どもっぽくて、そのぶん、冷めていない感じでもう一人を見ている。)
私も、そういう関係が理想だ。人々とそういう関係の中で生活をしたい。
ただ、みんながみんなそういう人だったら、つまらないかもしれないとは思うがー。
ありがたいことに、女性の友人には、それに近い人が数人いる。
何ヶ月に一回かのメールや、一年に一回くらい会うだけで、詳しい近況も言いたくなければ言わない。
言葉や行動に足りないことがあっても、それなりの事情を想像したりして別に気にしない。
似ている人もいるけど、実はそう私が思っている人も、そうではなくて、
私が無理をせずに、この程度の自分だと見せ続けていれば、
その見せている私を受け入れてくれる人が、尊重してくれているだけなのかもしれないが。(変な文章だがそういう感じ。)


Welcome Interstate Managers

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いつだって、ちょっとポップで、穏やかで疲れなく質のいい感じで。