「あかんべえ」(宮部みゆき)。
文庫が出たので買って読んだ。解説もけっこう納得(これは読む前には読まない方がよいです)。
”健気な”十二歳のおりんちゃんと、人のよいお化けさんたちのやりとりが、とてもほのぼのとしていて楽しい。
もちろん、ミステリーなわけだし、宮部さんの言いたいことが理屈っぽくなしに込められた人間ドラマだけど。
おりんちゃんの家族たちのような、弱さや邪悪なものが少ない、凛とした善人たちの会話や暮らしぶりは、
きれいごとのようだけれど、”自分らしく”...とか、”楽に”...、とかいう方向に流されがちな今、
暮らしぶりも心持ちも、こんなふうに自分自身を律して生活したら、
案外それが気持ちよく循環していくかもしれないなあ、と思う。
掃除した部屋にいると、きれいに暮らしていたくなるみたいに。


下巻の後半を電車や喫茶店で読んでいて、泣けてきて困りました。
下巻に入ると、ちょっとゆるい感じがあるような、亡者(いいお化けさん含む)の入り乱れるシーンは少しうるさ過ぎなような、
そんな感じもしたけれど、亡者に生者、多くの人物の思いや背景を語るには必要なものだったのだと思う。
で...そのあたりの内容について書こうと思っていたのだが、自分でまとまりがついていなかった。
下巻後半を、明日もう一回読んでみてから書こうと思う。