「フランシス・ハ」を観てきました。まあ面白かったです。大好きなNYものだし、
モノクロで映像もキレイ、音楽も素敵で楽しく、お洒落な感じの映画です。27歳
のちょっとイタイ女の子の話。今だから?なのか、あの年頃の友人同士の関わり
方、毎日の過ごし方自体が私なんかにとってはお洒落に見えました。恋愛は
恋愛でするけど、こだわった場所や部屋で友人同士の男女でシェアをしたり、
パーティーをしてテンポのいい率直な会話をして…みたいな。そういえば、冒頭
で、率直と評されるものってつまらないっていうこと、みたいな会話があって、
その後観ていてずっとひっかかっていたこともあるし、この監督さん(と共同
脚本の主役の女優さん)がこの映画をどういう心向きで作ったのか、と少し深
読みしてしまうところがあります。この監督さんは「イカとクジラ」の脚本を
書いた人で、私はあれを観て“ほんとにこんな親だったらいやだな!”と思った
し(ということは描き方がうまいのだと思う)、ありきたりな家族映画にしない、
微妙な心持ちを描いているのが好きでした。この主人公は、観ていて不快になる
ことのない、確かに正直で元気な女の子ですが、“不器用で大雑把“だけど前向
きで元気で…と紹介されているけれど、ややもすると人との関わり方に問題が
あるのでは?と思えるくらいなところもあるし、不思議なタイトルにつながる
最後のエピソードだって、前もってそこ想像できない?またはそうなったなら
直さない?(面白いからそのままってのもあるけど)、って考えるとちょっと
微妙。そのくらいの女の子をただ不器用で大雑把な…、って描いたのかな?
って思ってしまう。何かあるのかはわからないけど。イタイという意味では、
フランシスは行動に出るからわかりやすいだけで、私も27歳とかたぶんもっと
後まで、表向きはまっとうなフリをしていたけど、中身はもっと“何者かに
なれるはず”みたいな誇大なところがあったと思うので、変わらないと思う
けど。とりあえず、感じのいい、何か少し微妙なものの残る面白さのある映画
でした。