お気に入りのX.Doranの「Mommy」を2回観ました。1回めは、よかった
けれど、なんとなくうまく消化できないところがありましたが、2回めを観て、
やっぱり素晴らしいなと思いました。1シーン1シーン、言葉や表情に感情が
きちんと込められている(…みんなそういうつもりで作っているのだろう
けれど…)ので、常に気持ちが入ったまま観られるし(なので疲れますが)、
画面の中の人や物の捉え方(サイズ、位置)が自分的にすごくピッタリ感が
あって心地よいのだなと今回感じました。ADHDの少年と母の物語ですが、
X.Doranの場合は、母と子ども(特に息子)のつながり、愛し合い方について
自分に置き換えたりなぞらえたりして描いているので、いかにも福祉的?な
視点のみの映画というものにはならないし、もちろん、ところどころ彼らしい
美しい表現がされているので、美的にも満足できます。少年の心の自由さ?
を表現しているところは、観ていて音楽とともにとても気持ちがよく、切なさ
と裏腹のはずですが、希望と視線のやさしさの方を感じます。現実的な問題を
考えると重くむずかしい内容ですが、母も、少年も、個人で、自由で、でも、
どうしてもどうしようもなく引き合ってしまう、その事実の方が重いかもしれま
せん。母ダイアン役のアンナ・ドルヴァルも、少年スティーヴ役のアントワン
=オリヴィエ・ピロンも、とても素晴らしかった。隣人のカイラ役のスザンヌも。
自分も何度も泣けてしかたありませんでしたが、その時の映画館の空気全体が、
すごく映画に引き込まれているように感じました。そういうのは初めてでした。