本といえば常に文庫しか買わないし読んでいないのですが、
 昔からの癖?のような義理?のような感じで新作を買ってしまう村上さん。
 その新作を読んだ感触。
 「アフター...」で、この人の作品はもう自分的にはだめかも、と思ったが、
 「カフカ」でやや盛り返し...、と書くつもりだったが、調べてみたら
 それはありえない。出た順が逆。でも自分的にはどうしても上に書いたような感触がある。
 そして、「カフカ」がもう7年も前の作品ということも信じられない。
 「ねじまき」あたりまでのように楽しみな気持ちはなくなっているし、
 今回は、読み始めるにも読み進めるにも時間がかかった。
 しかし、Book1の後半くらいから加速し、そこからBook2はすぐに読み終わった。
 Book1を読んでいる頃は、今、この人がDVとかSAのことを書かなくてもいいんじゃ?
 と思ったが、全部読み終わると、それは大きなテーマではないことがわかり
 その部分も作品の中で自然に馴染んだ。
 読み終わってすぐは、自分的にはBook1の青豆と天吾のそれぞれのさびしい感じが
 自分の似たような部分にすごく触ってきて、その部分のよさが大きかったのだが、
 もう一度読み返してみると(特にBook2の青豆とリーダーの会話部分と、青豆が読む
 「空気〜」の内容で)、作品の大事な部分(たぶん)が見えてきた気がした。
 それで自分的には今までの作品より理解しやすかったように思えた。
 いろいろなテーマが織り込まれていると思われるけれども、私自身にとっては、
 天吾(作者)の書くことへの思い、父親との関係の推移が、篩いの上に残った。
 そして、私自身に宗教がいらないと思う理由をはっきりさせてくれるものも残った。
 現実的には、私には人といっしょにいることが必要(よくなるためにも有効)かも
 しれない、と考える気持ちが、読んで強まったように思う。
 作品を読み解く面白さは以前とくらべ少なくなったかもしれないけれど、
 今の私にとっては、わりと好きと言える作品でした。